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ゆとりアラサーオタクのブログ

受け入れ体制

「受け入れ体制」

 

ほんの数か月前までYou Tuberという人たちが嫌いだった。一般人の自己顕示欲をまざまざと見せつけられているようで見ていて恥ずかしい気持ちになると思っていた。でもいまや毎日毎日気が狂ったかのように動画を見ていて、完全にわたしの生活の一部を担っている。

 

わたしは表現者でもなければ業界の人でもないただのエンタメ大好き人間なんだけれど、これまでの人生でおそらく人よりは少し多くエンタメを楽しんできたはずなので、エンターテインメントとは?ということをよく考える。もちろん答えなんか知らないけど、いまのところただひとつだけ分かっていることがある。それは「エンタメを楽しむためには受け入れ体制が整っている必要がある」ということ。

 

高校生のときにお笑いを好きになって、テレビでも動画でもお笑いを見ていたし、ライブにもよく行っていた。けれど、わたしが育った家庭は反お笑い派の家庭だった。母も姉も「お笑いなんてなにが楽しいの?」とか、テレビでネタ番組を見ながら、「あんたこれが面白いの?」とか悪気なく平気で言ってきたりする。けしてみんな私の好みを否定したくて言っているわけではない。本当にお笑いなんて何が楽しいの?と心から思っているのだと思う。なぜなら、頭のなかに「お笑い=くだらない」という図式が出来上がってしまっているから。最初から笑おうと思ってネタ番組を見ない。そんな姿勢で漫才やコントを見ても面白いと思うわけがないし、それを乗り越えるほどきちんと見たことがないので一生そのままその図式は覆ることのないままとなってしまう。

私でいうと、K-popなんかがそれにあたるかもしれない。エンターテイメントとしてのクオリティがとても高いということは全く詳しくない私でも分かるほど多くの人を魅了しているコンテンツであるにも関わらず、どうも私のなかの受け入れ体制を整えることができないのだ。でも沼があまりに深そうなのではまらなくてホッとしている部分もある。

 

ここで冒頭の話に戻るけれど、私は数か月前までYoutuberが嫌いだった。信仰型オタクである私からすると、あまりに一般人に寄りすぎていて妙に生々しい自己顕示欲が見え隠れするこのコンテンツは苦手以外の何物でもなかった。ところが今年の3月頃、突如YouTubeにはまり始めたのだ。

 

年が明けてから、私はずっと憂鬱な日々が続いていた。仕事がうまくいかず苦しい思いをしていたときに出会い、心の支えとなってくれていたNGT48を信じることができなくなってしまった大きな事件が起きたから。この事件については思うところはたくさんあって、ここでは触れないけれど、とにかく大好きで応援していたものが一瞬でなくなってしまったのだ。それでも相変わらず仕事がつらい毎日はやってくる。どこかに逃げたい、楽しいものを見つけたい、と思っていたところに現れたのがグループYouTuberのアバンティーズだった。

YouTube好きの人からしてみれば、このタイミングでアバンティーズのファンになるなんてミーハー中のミーハーで、野次馬野郎だと思われてしまうに違いないと思う。でもそもそも受け入れ体制が整っていなかったわたしは悲しいニュースで初めてグループの存在を知ったようなそれくらいYoutuberに関しては知識ゼロの状態だった。

なにがきっかけで動画を見始めたのかは覚えていないんだけれど、しばらく見てすぐにハマっていった。なぜあれほどまでに受け入れ体制が整っていなかったのにこんなにスっとハマれたのか、すぐに理由が分かった。4人の関係性やキャラクターがとてもバンプに似ていたのだ。

Youtuberの主なターゲット層は中高生で、特にアバンティーズの視聴者はほぼ若い女の子たちなので、バンプを聴く世代ではないし、もし仮に聴いている人がいたとしても中高生のバンプファンはアバンティーズのファンにはならないようなタイプの子が多いだろうからこの感覚を分かってくれる人が見つかる気がしないんだけれども・・・。

4人組の幼馴染または昔からの友達グループで活動をしているということ、出身が東京に近い田舎であるということなど、共通点が多くて、何よりもメンバーの立ち位置が似ている。藤くん=エイジくん、ヒロ=ツリメくん、チャマ=そらちぃ、秀ちゃん=りっくんなのである。これ、両方のファンな人が聞いたら絶対拍手喝采レベルで納得できると思うからほんと誰か共感者現れてほしい。

圧倒的に才能にあふれていてグループやバンドの中心的存在であるけれど少しめんどくさい性格でもあり、でも誰よりも優しくて人から愛されている藤くんとエイジくん、ふわふわとした癒し系でちょっと天然な性格で場を和ませるヒロとツリメくん、社交的な性格で外の世界との外交担当をしてくれるムードメーカーなチャマとそらちぃ、一歩引いて控えめに見えるけれど実は結構とがっている秀ちゃんとりっくん。アバンティーズを見れば見るほどバンプに思えてきて、そりゃわたしハマるよな、と自分でめちゃくちゃ腑に落ちた。

こうして、自分のなかの引き出しから共通点を見つけ受け入れ体制を整えたわたしは、そのほかのYouTuberの動画も抵抗なく受け入れることができ、現在に至る。

 

受け入れ体制さえ整ってしまえば、エンタメを楽しむことは非常に簡単になる。だって、人気のあるものは、絶対に人気になる理由があるもん。受け入れてしまえば、そりゃ人気だよな、って絶対納得できるようになるよ。

 

ちなみにYouTubeに関して言うと、わたしたちの世代は、受け入れられる人とそうでない人がちょうど半々くらいの世代だと思う。わたしたちが学生の頃にはまだYouTuberという言葉はなくて、文化もできていなかった。でも、実際に今活躍しているYouTuberはほぼほぼ同世代の人たちがほとんどだ。発信する世代としてはどんぴしゃなのかもしれない。

 

もともと私が持っていたYouTuberという職業に対しての偏見は、いまでは全くない。商業としてかなり大成しているので活動がアイドル寄りになってきているから、その道のプロと比べてクオリティが低いだとか、素人だとか言われてしまうけれど、そもそもYouTuberはアイドルではないし、動画制作においてのプロ中のプロだと私は思っている。

ここでいうプロとは単純にその道で生計を立てているということを差すので、誰にも見られていないようなYouTuberは該当しないし、技術面でのクオリティは問わない(というかそんなもの判断できる知識はない)。

もともと自己表現をしている人が好き(アーティストや芸人など)な私は、技術やクオリティなんてどうでもよくて、自分が面白いと思うか、心が動くかだけを判断基準に好きなものを判断していた。そういう意味で言うと、YouTuberはあくまで動画クリエイターで、本人たちが企画を考え、出演し、撮影・編集も行っている。出演者としてだけの部分を切り取ってタレントとして考えているから、素人だと言っているのかもしれないけれど、あくまでタレントとして活動しているのではなく、動画を作ることを職業としてやっている人たちなんだよね。アーティストで言えば、作詞作曲の部分については触れず歌のうまさだけを評価しているようなものだと思う。シンガーソングライターは別に歌がめちゃくちゃうまいことが正しいわけではなくて、歌の上手い下手ではなく、歌唱を含めた作品が人の心を動かすかどうかどうかが問題なんだと思うんだよね。歌あんまり上手くなくてもその人が歌わないと響かない曲なんてめちゃくちゃあるじゃん。それと同じで、YouTuberもトーク技術がすごいとか、編集技術がすごいとかそういうことだけではなくて、この人たちがやるから面白いとか、動画のどこかに好きになる要素があるかどうかということが重要なんだと思うよ。

いや違うよ、それは分かってるけど、それなのに曲出したりドラマやったり、アイドルまがいのことしてるから叩いてるんだよ!という皆様。それはもう諦めよう。連ドラ主演からジャニーズを外すことはできないし、菅田将暉は歌も歌うし、アイドルはグラビアをやるし、東国原さんは知事になる。おあいこじゃんね。他ジャンルに進出してくんな、はYouTuberに限ったことではないからね。かくいう私もその道一筋がほんとは好きだよ。

 

まあ長々と書いたけど、要はみんな、間口を広げていろんなものを受け入れられるようにしておいたら、世の中にはめちゃくちゃ楽しいものがいっぱいあるよ、ということを言いたかっただけです。みんな人生たのしも。